固体と液体の境目に潜む“ナノ世界”を可視化する
研究室のご紹介 〡 vol.67表紙より
スマートフォンや自動車、そして身の回りのさまざまなセンサ---現代社会を支える電子デバイスは、ナノメートル(1ミリの100万分の1)の世界で精密につくられています。その製造工程の中でも、水を使った洗浄や研磨などの「ウェット工程」は、半導体製造でも行われる、基板の表面を原子レベルでなめらかに整える重要なプロセスです。
しかしこの工程では、ウイルスより小さなナノ粒子や微細な気泡が液体の中で複雑に動き、デバイスの性能に影響を与えることがあります。ところが、固体表面と液体が接する“ごく薄い層”で何が起きているのかを直接観察することは、これまで非常に困難でした。
パナート研究室では、この「見えなかった世界」を光の力で可視化することに挑んでいます。界面近傍にだけ届く“エバネッセント光”という特殊な光を利用し、さらに複数の色の光を解析する手法や、光が重なり合うときに生じる干渉現象を組み合わせることで、液体中のナノ粒子の三次元的な動きをナノメートル単位で捉える技術を確立?発展させています。言い換えると、これまで霧の中だったナノ粒子の動きが、クリアな立体映像として見えるようになってきたのです。「測ることで理解し、理解することで創る」をモットーに、顕微鏡や光を使った観察装置を学生とともに設計?改良しながら研究を進めています。ナノの速い現象を追う挑戦は決して容易ではありませんが、“見えなかったものが見えた瞬間”の感動が、研究を続ける大きな原動力になっています。次世代の科学技術を担う人材育成と持続可能な社会の実現に向け、日々挑戦を重ねています。
飯塚キャンパス
大学院情報工学研究院
知的システム工学研究系
カチョーンルンルアン パナート 准教授